途切れた恋の便り

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エマ視点 朝起きるとすぐに玄関へと向かうのが朝の日課となってしまった。 「今日こそ届いていますように・・・ッ!」 祈ってから郵便受けを開き、新聞やチラシしか入っていないのを確認し、少し落ち込むところまでが一連の流れだ。 週に一回という約束で始めたはずが、毎日確認しているのはそれだけエマが手紙を楽しみにしているから。 しかし、そんな楽しみだったはずのことなのに最近は少し胸が痛い。 「今日もないのかぁ・・・」 郵便受けから全て取り出し家の中へと戻る。 「あらエマ。 エマは本当に早起きになったわねー」 「まぁ、うん。 健康のため?」 そう言われ笑顔で誤魔化し、持ってきたものを机の上に置いた。 「郵便も取りにいってくれるから本当に助かるわ」 「何事も習慣になればできるっていうことなのかな」 「あとでマミも起こしてきてくれる?」 「うん、朝食の前に行ってくるね」 エマはリビングを出て自室へ向かう。 ―――もう最近ずっとカインからのお手紙が届いていない。 ―――一体どうして? ―――私、嫌われるようなことをしちゃったのかな・・・。 ―――心当たりはないんだけど手紙で変なことを言っちゃったり? ―――突然パタリとお手紙が途絶えたから何かあると思うんだけど・・・。 ―――とりあえず今日は日曜日で私の番だから、残りのお手紙を仕上げちゃって出しにいこう。 自室へ戻ると書き途中だった手紙を仕上げた。 ―――もうずっとカインからのお返事は来ていないのにまだ私は送り続けるって不思議。 ―――カインからの返事ならいくらでも待てる気がするんだ。 ―――・・・でもカインからしたら迷惑なのかな? ―――大丈夫かな・・・。 「お母さん、朝のお散歩へ行ってくる」 「気を付けてねー」 朝の散歩と言ってこっそり手紙を郵便屋へ届けにいく。 貴族であるカインとは違い自分の伝書鳩なんて持っていない。 これが当たり前で日常だった。 ―――カインのおかげで苦手だった朝も起きられるようになった。 ―――大切な日曜日がカインのことを考えるので頭がいっぱい。 ―――カインと出会っていいことばかりだなぁ。 貴族のカインと文通していることは両親には内緒にしている。 だからこっそりと手紙を出し、朝一番に郵便を受け取りにいくのだ。 朝は苦手でもカインからの手紙が届いているのかもしれないと思えば苦ではなかった。 「流石に私の手紙は届いているよね? どこかで止まっていたりはしないよね・・・?」 郵便屋でも無事に届くようお願いをして家へと帰った。 確認した限りでは相手方に届いていて、郵便物が戻ってきているといったことはないらしい。 それはカインが意図的に郵便を止めていることに他ならないが、それでも諦める気はなかった。 そうこうしているうちに朝食の時間のため、妹のマミを起こしにいくことにした。 「ほら、朝だよー! 起きてー」 「んんー・・・。 日曜日なのに早いよぉ・・・」 「早起きをすると時間に余裕がたくさんできるからいいことだらけだよ?」 「日曜日くらいゆっくり寝ていたいもん・・・。 また例の恋人?」 「だ、だから恋人じゃないって!」 両親には内緒にしているがマミだけにはカインのことを教えていた。 以前手紙を書いているところを見られてしまったためだ。 マミは両親に秘密にしてくれている。 「・・・そうだよ。 さっきお手紙を出してきたの」 「まだ彼からお手紙の返事は来ていないの?」 「・・・うん。 今日も来ていなかった」 そう言うとマミは眠気が徐々に冷めてきたのか目を開いて言った。 「そっかぁ。 返事が来なくなってからかなり経つし寂しい感じがするね」 「・・・まぁ、きっとカインは忙しいんだよ!」 エマはそう思うようにして気持ちを保っていた。 ただ客観的な視点のマミからしたら思うところもあるようだ。 「お姉ちゃんは彼とは恋人じゃないって言っているけど本当はどう思ってるの?」 「え? ・・・どうって?」 「彼のことは好きなの?」 マミに真っすぐな目でそう問われた。
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