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「はぁ、ぁ……、な、なんで」
かたいものの上に穴をあてがっているのに、うまく入りこんでくれない。焦っていると高久さんが、落ち着いて、と汗に湿った髪を後ろにといてくれた。
「角度、もうちょっとほら、こっちです」
「こ、こっち? ぁ、あ、こう、ですか、んっ」
「うん、上手。あ、ほら入って、く」
ぐーっと指とはかたさも大きさも違う圧倒的な塊が、内部をすき間なく埋めていく。
苦しさと怖さが突如襲ってきて、助けを求めるように高久さんの首に手を回し抱きついた。
「大丈夫? 痛い?」
「ふ、……ぅ、痛く、ない、けど」
風邪の子供にするみたいに額を合わせてくる高久さんの、心配そうに僕を見る目を見つめ返す。
その優しさであふれた漆黒の瞳の奥に安らぎを見つけて、ゆっくり目を閉じ、口づけた。
腰から臀部にかけていたわるように撫でられると、ん、と小さく声がもれた。
途中まで入っていたものを、自ら最奥まで沈める。
ぎっちり内部が埋まっていくにつれて、恐怖はなぜか薄れていった。
「すごい、気持ちいいです、芳村さんの中」
かすれた声は切実に響いて、僕の心を溶かす。
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