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「もしかして、不安にさせましたか」
耳を空いている手でくすぐられ、思わず首を縮めた。
さっき囁かれた時に身体を揺らしてしまったから、そこが弱いと思われたのかもしれない。
「不誠実でしたね。芳村さんとのつながりがひとつでも切れると不吉な気がして、結婚する気もなくなっていたのに登録したのをそのままにしてしまいました。まあそのせいで見合いを勧められてしまったわけだけど」
「そうですよ。高久さんも半分悪いです」
「ごめんなさい」
そんなふうに素直に謝られると、下手に出てくれた相手にふてくされてしまった自分の子供っぽさに居心地が悪くなる。
そして眉間に寄せたしわもすぐさま見つけられ、指の腹で撫でるように伸ばされると、同い年なのにここまで甘やかされてしまってもいいのかと、今度は不安になってきた。
「僕って頭の中身が年相応じゃなくないですか」
「なんですか急に」
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