仕上げに

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「娘を里に帰そうと思う」  ヒキガエルはぎょっとした。急にどうしたんだ、こいつ。 「ええ、どうしてですか? すっかりうまくいっているとばかり思っておりましたのに」  コンドルは心持ちやつれたようだ。小さな声を絞り出すように、懺悔するように次の言葉を口にした。 「どうやら私は思い違いをしていたようだ。娘は、おそらく私のことなど好きではないんだ。申し訳なくて、顔も見れなくなってしまった。もう、終わりにしようと思っている」  ほう、鈍い鳥頭でもようやく気付いたか。これでも十分報復にはなってるかな、こいつこんなにやつれちまった。ザマぁねえ。って、言ってる場合じゃねえな。こんなことで俺の計画を台無しにされてたまるか。あと一息なのに。  ヒキガエルは思い切り笑って吹き出した。コンドルはぎょっとしたようだ。 「何を言い出すかと思えば、アハハハ、いやね、すみません。余りに突拍子もない事を仰られるもんですから。全く、人の気持ちってのはわからないもんですねえ。ハハ、この前同じような事を言ってた人がいますよ。どうも自分は好きな人に嫌われたようだって。最近、自分の事を全然見てくれないのだと、嘆いている可愛らしいお嬢さんがいましたっけ」 「……まさか」 「全く、お二人して困ったものです。そろそろ次の儀式の時期ですから、それが終わればちゃーんとお互い気持ちを確かめ合えばいいじゃないですか」 「次の、儀式?」 「そうです、娘の里に挨拶に行くんですよ。手順はちゃんとお教えいたしますから、御安心なさい」
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