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薬はよく効き、マリーの容態は回復した。だが、コンドルの気持ちは沈んでいった。マリーはオレンジをとてもおいしそうに食べた。それはいつもコンドルの運んでいた生肉では見せなかった顔だ。
コンドルは不安にかられた。もしかすると、マリーは生肉が好きではないのか?もしそうだとすれば、毎日マリーは無理をして食事をしていたことになる。それでは具合も悪くなるだろう。しかもそうさせていたのは自分なのだ。
コンドルは仲睦まじい夫婦の家で感じたことがどうしても頭から離れなかった。彼らは暖かく明るい家に住み、とても仲良く幸せそうだった。マリーは自分といて幸せなのだろうか。こんな暗くて湿った洞窟に住まわせるべきではないのではないか。その思いは一度頭に浮かぶと、離れることなく日毎に大きくなっていった。
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