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彼はずっとそこに立っていた。
ぴっと背筋を伸ばし、足を肩幅よりやや広めに開いて、両手は後ろで組み、顔は前を向いて。
そういう仁王立ちのポーズで、彼はずっとそこに立っていた。お昼と、午前と午後に一回ずつの見回りと休憩を除いて、朝から夕方まで一日中。
なぜなら、それが彼の仕事だったからだ。
彼の仲間の中には、「一日中突っ立っているだけなんて、疲れて集中力も鈍るよ」と言って、自主的に休憩を取る者もいる。だが彼は立っている間も身体を引き締めていたし、頭の中では、何か緊急の事態が起こったときの行動をいつも考えていたので、心身は緊張していた。また元来が寡黙な性質なので、無言で立っていることは彼にとって苦ではなかった。
彼は頑固に、一途に、そこに立っていた。
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