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それを見届けると、中山くんは、ふっと笑う。
「お前は、もう少し男を見る目を養わないとな」
そう言って私の頭にぽんと手を置いた。
えっ?
もしかして、知ってる?
私は、驚いて隣を見上げる。
「中山くん?」
「俺は山崎と違って、女なら誰彼構わず見てるわけじゃない。でも、好きな女はちゃんと見てるんだよ」
どういうこと?
「見てるから、誰を見てて何を思ってるか、なんとなく分かる」
それって……
「俺はあいつとは違う。絶対に二股なんてしないし、浮気もしない。今なら橋本限定、先着1名限り無料で50年保証付けるけど、どう?」
中山くんは笑ってるけど、ふざけてるようには見えない。
「橋本限定、先着1名って、日本語が変!」
私はなんて答えていいか分からなくて、わざとポイントのずれた返事をしてごまかす。
「くくくっ、じゃあ、言い方変えるよ。今度は浮気しない男と付き合ってみないか?」
中山くんがいい人なのは、この数週間でよく分かった。
毎週飲みに行きたくなるくらい楽しくて居心地のいい人だってことも知ってる。
でも、これが好きってことなのかどうか、まだ分からない。
分からないけど、できればもっと一緒にいたいって思う。
来週も再来週もこうして過ごせたらって思う。
だから……
「50年保証じゃなくて、永久保証にしてくれるならね」
私がそう答えると、中山くんはとても嬉しそうに破顔した。
─── Fin. ───
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