【6】終焉の刻

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〜東京湾令和島近海〜 羽田空港沖を周り、クルージングは夜景に輝く東京へと帰途についた。 令和島を過ぎようとした時。 操舵室のドアが開いた。 「こらこら、ここは部外者立ち入り…えっ?」 「黙って言う通りにしろ。容赦はしない」 9mm機関拳銃を構えた男が1人。 馬場(ばば)篤郎(あつお)、元陸上自衛隊員。 熊本で肉牛の酪農家だった両親は、牛肉に見つかったウィルスの風評被害に遭い、自殺に追いやられた。 Justiceの命により、佐々木の両親が乗ったセスナを撃墜した犯人である。 「わ…分かった。何が望みだ?」 船長が落ち着いて話しながら、彼に一歩近付き、わざと気をひく。 「動くな!」 その隙に、少し後ろにいた操舵手が、右下にある通信機のスイッチに手を伸ばす。 訓練された彼に、そんな小細工は通用しない。 「バババッ💥」 「グァ!」 「永島⁉️」 船長の叫び虚しく、床に倒れる彼。 見る見るうちに、血溜まりが広がる。 「お前、何考えてるんだ❗️」 「遊びじゃない。警告はしたはずだ。今からお前が舵をとり、ここへ船を着けろ」 赤丸がついた地図が渡される。 「さっさとしろ!言っておくが、船の操縦は俺でも出来る。無駄に死にたくなければ従え」 「ババババババ💥」 それを告げ、下調べ済みの無線機や救難信号などの装置を、全て破壊した。 「クソッ!」 仕方なく、地図の位置へ進路を変える船長。 他のクルーは皆んな、麻酔で眠らされている。 〜対策本部刑事課〜 昴も手伝い、賢明な会場探しが行われている。 紗夜の説得が通信機から続く。 「松永裕二の意識が戻ったことは、星谷が仕掛けた盗聴器で知り、彼女は病院に現れた。その際に報道各社へも連絡を入れたと考えます」 「しかし…星谷自身も、マスコミを恨んでいたのは分かるし、テロの仲間で間違いないわ。彼らが呼んだ可能性もあるんじゃない?」 紗夜への信頼は高い。 咲は否定するのではなく、他の懸念を払拭したいのである。 「決め手は、(ソン)沐阳(ムーヤン)の雇い主が、佐々木萌だと言うことね。松永裕二の話でも、空港爆破時に(ソン)の通信を受けている。少なくとも佐々木は黒よ」 やっと(ソン)の家から脱出した桐谷。 自ら確認した、2人の繋がりである。 それについては、誰も異論は無かった。 だが、今回のSNS争奪戦については、佐々木の関与は明らかではない。 〜先端医療工学大学病院〜 オペを終えて、松永裕二に貸していた部屋のベッドに座り、ボーっと彼の面影を探す莉里。 (あ〜あ、私としたことが、何やってんの❗️) 諦めて立ち上がる…が、やはり気になり、紗夜に連絡を取ろうと、ポケットを探る。 「あれ?」 自分のラボに戻り、辺りを探す莉里。 念の為に、手術室も確認してもらった。 「おかしいな…どこへ?」 ふと、ある疑念が湧いたが、直ぐかき消した。 (それはないわね、意味ないし) そうして、また探し始める莉里であった。 そんな時。 刑事課メンバーの通信機に、声が入った。 「随分と、楽しませてもらったわ」 一瞬、思考が停止し、固まるメンバーたち。 その膠着(こうちゃく)を、紗夜が解く。 「佐々木、萌⁉️」
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