【6】終焉の刻

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〜SNS争奪戦発表会場〜 インターネットのサイトに映像が映る。 透明な円柱の中に作られたステージ。 大きなモニターがあり、この一月間に投稿された、数々の事故や事件の映像が流れている。 ステージ中央には演台とマイクが一つ。 シンプルで殺風景な造りである。 「それでは皆さん、参加者の皆さんが到着しましたので、入場して頂きましょう」 両サイドの奥のゲートが開き、ゾロゾロと人々が入場し、ステージを取り囲む。 照明が暗く、顔まではみえず、騒ついている様子は分かるが、声は聞こえない。 〜対策本部刑事課〜 昴が懸命に画像を検索しているが、ヒットする場所は見つからない。 「さて、話は終わりにして、私は最後の仕事をしてきますね。ご指名なので、ハハ」 「待ちなさい、こら、待てって❗️」 車の中から、咲の声が虚しく響く。 その咲の携帯が鳴った。 「ん?美夜?」 とりあえず、珍しいので出る。 「何よ美夜、今忙しいんだから」 「分かってるわよ、咲姉。会場を探してんでしょ?もしかしたら分かるかもと思ってね」 「えっ?美夜、知ってんの?」 咄嗟に、スピーカーフォンに切り替える咲。 「二月ほど前に受注した物件があってさぁ。今日、進捗状況を知らせろってメールが来たから、見に行ったんだけど…」 「どこ?誰から?写真は?」 「焦らないでよ」 「焦るわよ❗️見てないの?」 「見てるから、連絡したのよ。あんな円柱があった様な気がしてね。それに変な造りで、周りは鉄パイプで囲まれてて、やけに重いとか言ってたわ」 「咲さん!(ソン)の使っていた爆弾じゃ?」 聞いていた昴が反応する。 「まだ屋根は無いし、かなり遅れてて、こっちも焦ってんのよね」 「分かったから、場所は?」 「それが、あんた達の直ぐ近くよ。江東区お台場、ワールド流通センター近くの、海辺の倉庫跡地」 「何っ⁉️対策本部の直ぐ南側じゃないの❗️」 「だから、そう言ったじゃ…」 「サンキュ❗️」 「部長、直ぐに出動を!」 「咲さん、今出動部隊は皆んなそっちです」 「花山長官…あ、そうよね💧紗夜、昴、土屋、とりあえず任せたわ!私達もブッ飛ばして向かってるから」 アクセルをベタ踏みする戸澤💦 「了解です。皆んな、佐々木はわざと美夜さんの会社に依頼し、今日見させた…」 「チッ!建設中なら、いくら探しても見つかるはずはないわね。完全にやられたわ!」 土屋が悔しがり、その場の全員がへたり込む。 「富士本さん、爆弾処理班も急行させ、周辺の施設に避難指示をお願いします。昴さん、土屋さん、行きましょう❗️」 「紗夜さん、昴、土屋、元自衛隊員が重装備で待ち伏せしてる筈だ、それぞれ自分の特殊車両で行け!」 装備を熟知している戸澤が、指示をした。 「場所はワールド流通センターの南。私はセンター左のメインコースで、昴さんは右のコース、土屋さんは私の一本左のコースで、裏へ回って下さい」 地下駐車場に降りて、それぞれのTERRA(テラ)製特殊車両に乗り込む。 本人感知で自動でエンジンがかかり、直ぐにモニターがつく。 着信ランプに気付き、押してみる3人。 「聞こえてますか?TERRAの山本リサです。先ほど、佐々木萌さんから連絡があり、今上空に来ています」 「山本さん⁉️佐々木が連絡を?」 「現場の映像を送ります…って、何これ?」 現場へ向かう道路は、紗夜が指示した3本。 その途中を、トレーラーが塞いでいた。 「人影は見えないけど、きっといる。皆んな気をつけて!」 (警察を殺すつもりはない…ってことね) 急加速して出て行く3台。 するとモニター画面が変わった。 「仕方ないから、運転は咲さんに代わった」 「仕方ないって、どういう意味よ戸澤❗️」 理由は聞かずとも分かる皆んな。 無視して続ける戸澤。 「昴は分かるな?」 「はい、もちろんです」 「紗夜さんと土屋のシステムは、俺が遠隔操作するから、運転に集中してくれ。安心しろ、この車は、並の機銃なら耐えられる」 「了解。任せます」「よろしく」 咲の隣でモニターを操作する戸澤。 サブモニターに、紗夜と土屋のフロントカメラの映像が映った。 「スゲぇな、そんなことできんのか」 後部座席で、感心して見ている淳一。 「やったことはないがな」 「マジか…」 さすが元公安だと思う淳一。 速度メーターを確認し、本部を出て来たことを、後悔していた。
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