140人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
眩しいライトに照らされた会場。
それへ、佐々木がスマホを向けた。
「さぁ、今度はお前たちが主役よ。私が砕け散る瞬間を撮ってあげるわ。どれほどの『いいね』が集まるかしら」
「頼む、やめてくれ!」
「死にたくない、助けて!」
「もうやめる、だから勘弁してくれ!」
死を現実のものと感じ、必死に哀願する彼ら。
ステージから冷ややかに見下ろす佐々木。
「今更後悔しても遅い。あなた達が殺した人達は、助けを求めることさえできなかった。真実も知らないお前たちに非難され、苦しめられて殺されたのよ!その罰を受けなさい❗️」
「やめなさい、佐々木!」
紗夜の声に、ゆっくりと笑む。
「実はね、この会話を直接聞いてる優秀な刑事さん達がいて、もう近くに来てるの。だから、少し教えてあげるわ。まずは、刑事さん達、建物外周には地雷や罠があるから、立ち入らない方がいいわよ。それに、建物の壁になってる鉄パイプには、爆薬が詰まってるから、どうせ侵入も無理だから」
危うく敷地に入ろうとして、踏み留まる紗夜。
(嘘ではない…)
「昴さん、土屋さん、嘘じゃないわ!」
「さすが有名な心理捜査官。正しい選択です」
爆薬と聞いて、壁から離れる皆んな。
中央のステージに、我れ先にと密集して来る。
「さて…私が手始めに狙ったのは、羽多野稔と神尾みどり、そして2人に東報新聞社からついて来た鳴海と土田。緑川佐和子と香川美緒を執拗に追い回したバカな人殺し達」
「えっ⁉️」(紗夜&昴)
「どういうこと?」(咲&土屋)
「なんだと?」(戸澤&淳一)
「昴さん!」
紗夜が説明を求める。
「皆んな羽田の爆破で亡くなった、JAPAN-TVの報道陣です!」
「あれ〜やっぱり気付いてなかったんだ。あの時、松永裕二も死ぬはずだったんだけどね〜。まさか自分の荷物を持たずに出てくるとは、ちょっと焦ったわ」
「つまり、途中で起爆させたのは…」
「その通りよ紗夜刑事。羽多野と神尾、鳴海と土田を盾にして殺すため。松永裕二は、ついでに死んでもらう予定だったのに…あの刑事さんには、可哀想なことをしたわ」
「だから、JAPAN-TV だけに、報道を許可したってことね!」
「ピンポーン。鳳来咲刑事さん大正解!」
「ふざけるな❗️」
「ふざけてなんかない❗️アイツらを殺す為に、私も危険を冒したんだから。しかし、松永裕二…盾にしたのに、私を庇った上に、まさか生き残るなんて、予定外過ぎ〜」
紗夜は気が付いた。
「緑川佐和子の爆弾も、最初から玄関ホールで爆破させる予定だったのね❗️」
「さすが紗夜刑事。私が各社の報道陣に、松永が目覚めた情報を流したのよ。でなきゃ集まるわけないし」
紗夜が疑問に思っていたことであった。
「狙ったのは、ロリコンネタで、松永久信から大金を脅し取っていた菊峰紫織。それから、長澤の不倫を追い回し、奥さんと息子をマスコミの被害者にした、片山恒夫。九州の肉牛ウィルス事件で一旗上げて上京した、奥田則夫。彼のせいで、馬場篤郎の両親は死んだんだから。他にも数人」
「皆んな、病院の爆発で亡くなっています❗️」
話を聞きながら、タブレットで保存したリストを見ていた昴が告げる。
「皆んな殺してやったわ。ついでに、死にたがっていた、可哀想な松永久信さんもね」
「偶然じゃなかったのか⁉️」
「当たり前じゃない。警察に真実を話して死ぬって言ってたから、あの病院を場所に選んであげたのよ。本当は…緑川佐和子も殺すはずだったんだけどね〜逃げられた」
「緑川をどうして?彼女は幼馴染で、復讐してやったんじゃないの?」
「おっとその声は、元CIAの桐谷刑事ね。そうよ。…でもね、私の過去を知る、唯一危険な存在だったし、死にたがってたから」
「完全にイカれてるな、お前」
「言葉には気を付けなきゃ、戸澤公紀さん。いや、土屋公紀かな?馬場のライフルが、大切な奥さんの頭を撃ち抜くわよ」
「何だと❗️土屋、車から出るな!」
言われるより素早く、車に乗り込む土屋。
殺気を探る紗夜。
(いや…馬場はいない)
「アハッ、冗談よ。彼はさっきの爆撃で死んだわ。警察の車からミサイルとは、あり得ないし、マジ驚いたわ」
爆破事件のターゲットが、松永裕二ではなく、報道陣であったこと。
更にその主犯が佐々木萌で、言うことも、全てが予想外であった。
最初のコメントを投稿しよう!