【6】終焉の刻

8/9

140人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
眩しいライトに照らされた会場。 それへ、佐々木がスマホを向けた。 「さぁ、今度はお前たちが主役よ。私が砕け散る瞬間を撮ってあげるわ。どれほどの『いいね』が集まるかしら」 「頼む、やめてくれ!」 「死にたくない、助けて!」 「もうやめる、だから勘弁してくれ!」 死を現実のものと感じ、必死に哀願する彼ら。 ステージから冷ややかに見下ろす佐々木。 「今更後悔しても遅い。あなた達が殺した人達は、助けを求めることさえできなかった。真実も知らないお前たちに非難され、苦しめられて殺されたのよ!その罰を受けなさい❗️」 「やめなさい、佐々木!」 紗夜の声に、ゆっくりと笑む。 「実はね、この会話を直接聞いてる刑事さん達がいて、もう近くに来てるの。だから、少し教えてあげるわ。まずは、刑事さん達、建物外周には地雷や罠があるから、立ち入らない方がいいわよ。それに、建物の壁になってる鉄パイプには、爆薬が詰まってるから、どうせ侵入も無理だから」 危うく敷地に入ろうとして、踏み留まる紗夜。 (嘘ではない…) 「昴さん、土屋さん、嘘じゃないわ!」 「さすが有名な心理捜査官。正しい選択です」 爆薬と聞いて、壁から離れる皆んな。 中央のステージに、我れ先にと密集して来る。 「さて…私が手始めに狙ったのは、羽多野稔と神尾みどり、そして2人に東報新聞社からついて来た鳴海と土田。緑川佐和子と香川美緒を執拗に追い回したバカな人殺し達」 「えっ⁉️」(紗夜&昴) 「どういうこと?」(咲&土屋) 「なんだと?」(戸澤&淳一) 「昴さん!」 紗夜が説明を求める。 「皆んな羽田の爆破で亡くなった、JAPAN-TVの報道陣です!」 「あれ〜やっぱり気付いてなかったんだ。あの時、松永裕二死ぬはずだったんだけどね〜。まさか自分の荷物を持たずに出てくるとは、ちょっと焦ったわ」 「つまり、途中で起爆させたのは…」 「その通りよ紗夜刑事。羽多野と神尾、鳴海と土田を盾にして殺すため。松永裕二は、ついでに死んでもらう予定だったのに…あの刑事さんには、可哀想なことをしたわ」 「だから、JAPAN-TV だけに、報道を許可したってことね!」 「ピンポーン。鳳来咲刑事さん大正解!」 「ふざけるな❗️」 「ふざけてなんかない❗️アイツらを殺す為に、私も危険を(おか)したんだから。しかし、松永裕二…盾にしたのに、私を庇った上に、まさか生き残るなんて、予定外過ぎ〜」 紗夜は気が付いた。 「緑川佐和子の爆弾も、最初から玄関ホールで爆破させる予定だったのね❗️」 「さすが紗夜刑事。私が各社の報道陣に、松永が目覚めた情報を流したのよ。でなきゃ集まるわけないし」 紗夜が疑問に思っていたことであった。 「狙ったのは、ロリコンネタで、松永久信から大金を脅し取っていた菊峰紫織。それから、長澤の不倫を追い回し、奥さんと息子をマスコミの被害者にした、片山恒夫。九州の肉牛ウィルス事件で一旗上げて上京した、奥田則夫。彼のせいで、馬場篤郎の両親は死んだんだから。他にも数人」 「皆んな、病院の爆発で亡くなっています❗️」 話を聞きながら、タブレットで保存したリストを見ていた昴が告げる。 「皆んな殺してやったわ。ついでに、死にたがっていた、可哀想な松永久信さんもね」 「偶然じゃなかったのか⁉️」 「当たり前じゃない。警察に真実を話して死ぬって言ってたから、あの病院を場所に選んであげたのよ。本当は…緑川佐和子も殺すはずだったんだけどね〜逃げられた」 「緑川をどうして?彼女は幼馴染で、復讐してやったんじゃないの?」 「おっとその声は、元CIAの桐谷刑事ね。そうよ。…でもね、私の過去を知る、唯一危険な存在だったし、死にたがってたから」 「完全にイカれてるな、お前」 「言葉には気を付けなきゃ、戸澤公紀さん。いや、土屋公紀かな?馬場のライフルが、大切な奥さんの頭を撃ち抜くわよ」 「何だと❗️土屋、車から出るな!」 言われるより素早く、車に乗り込む土屋。 殺気を探る紗夜。 (いや…馬場はいない) 「アハッ、冗談よ。彼はさっきの爆撃で死んだわ。警察の車からミサイルとは、あり得ないし、マジ驚いたわ」 爆破事件のターゲットが、松永裕二ではなく、報道陣であったこと。 更にその主犯が佐々木萌で、言うことも、全てが予想外であった。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

140人が本棚に入れています
本棚に追加