1食目:焼肉食べ放題の涙

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 だが琴音はまだ警戒を解いていなかった。 「うそ! 親切なフリしても騙されないわよ! じゃあ、なんで私が行く先々にアンタがいつもいるのよ? しらばっくれないで。私の事ストーカーしているんでしょ!」 「はあ? なに言ってんだ? お前が俺の行きつけの、大食いや食べ放題の店に現れているだけだろ」 「大食い……食べ放題……の店……?」  琴音は思い出す。そういえば、コイツを見かけるのはいつも失恋してやけ食いしているときだったっけ……。  私の勘違いだった……?! 「それじゃ、俺はまだ『2時間食い放題』の時間が残っているから、これからお店にダッシュで戻る」 「あ、そう……。わざわざ、ありがと……」  拍子抜けして琴音は礼を言う。  デブ男は踵を返して立ち去ろうとした。  だが、ふと足を止めて振り返った。 「あ、そうだ」 「?」 「お前さ。いい食べっぷりだけど、ちゃんと運動もしないとデブになるぞ」 「!!」
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