1食目:焼肉食べ放題の涙

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 肉の焼け加減を見ながら、亜里砂が不意に問いかけてきた。  琴音は答えずに、食べ続けながらとっぴなことを言い出す。 「火を発見した原始人って、すごいよね」 「はあ?!」 「肉って焼くだけで、こんなに美味しくなるんだもん。原始人も初めてマンモスの肉を食べたときは、すごく感動したと思うよ」 「……」 「あ! そういえば!」 「……」 「そもそもマンモスの肉って美味しいのかな? 食べてみたいなぁ。どっかの焼肉屋でマンモスの肉出すとこないかな。あとで家に帰ったらネットで調べてみようか?……って、マンモスはとっくに絶滅してるじゃないかーい!」  琴音は自分でボケけて自分でツッコミを入れる。だが面白くも何ともない。  勢いが空回りしている感じだった。 「……」  亜里砂はそんな琴音に黙ってハンカチを差し出した。 「ん?」 「涙、拭いて」 「なに、なんのこと?」 「涙、出ているから」 「あははは、亜里砂、何言ってるの? やだなぁ、泣いてなんかいないよ。泣いている訳ないじゃん」 「……で、今度は誰にフラれたの?」
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