72食目:カロリーなんて怖くない! ⑤

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「よく意味は分からんが、『ボクの勝ちでいいの?』と伝えれば分かると言われたぞ」 「!!」  光太は息を飲んだ。  光太が琴音に告白するのが先か、郁晴が父親を説得して留学するのが先か。  光太は郁晴に勝負を挑まれていた。  その勝負の決着を郁晴はギリギリまで待っていてくれたのだ。  なのに俺は……。  今回もまた琴音への告白を先送りしようとしている。  なんて俺はヘタレなんだ……。  光太は肩を落とし、何も言わずに旅立った郁晴のことを思った。  ーーボクの勝ちでいいの?  挑発的な郁晴の言葉を反芻する。  「…………。いや、まだ勝負はついていない!」  考え込んでいた光太は急に顔を上げると、琴音を振り返った。 「琴音、行こう!」 「行くってどこへ?」 「空港さ。まだ間に合う! 俺はそこで郁晴との勝負に決着をつける!」  光太はそう言うと、琴音の手を取った。 「え、ちょっと、どういうこと?」  勝負の内容を知らされていない琴音は困惑する。だが光太は強引に琴音の手を引き、試合会場を飛び出して行く。  その背中に、事態をなんとなく察した、澪、寧々子、翔琉、亜里沙、みんなの声援が飛んだ。 「よし、行ってきなさい!」 「頑張ってね~」 「師匠、頑張ってください!」 「お姉ちゃん、気を付けてね~」 ea07d9d1-4296-455b-b6e9-3045e0200954 【つづく】
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