73食目:カロリーなんて怖くない! ⑥

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 琴音は意を決して光太の真正面に回り込んだ。 「?」と光太が不思議そうな顔をする。  琴音は光太に告げた。 「いいわよ。ここで告白して! どこかにいる郁晴くんにちゃんと聞こえるように大声で!」 「大声ってそんな……」  光太は周囲を気にした。ここでそんなことをしたら、いい見世物になってしまうのは明らかだった。 「周りを気にしてる場合じゃないでしょ!」 「お、おう!」  光太は腹をくくった。  大きく息を吸って叫ぶ。 「琴音……俺は……!」 「……」 「……」  突然の空手着姿の高校生が大声を張り上げたので、周りの人々は何事かと振り返る。注目を集めるが、それでも構わず光太は叫んだ。 「俺はお前のことが好きだ!」 「私も光太のことが好き!」  そのとき、二人の背後でパチパチと手を叩く音がした。  振り返ると、旅行カバンを足元に置いた郁晴が拍手していた。 「良かった。ようやく告白したね」 「郁晴くん!」 「お前、黙って見てたのか?」 「ああ、だいぶ前に来たことに気づいたけど隠れて見てた。だって君たち追い詰められないと、告白しないと思ったから」 「ひどい」 「あははは」  郁晴は屈託なく笑っていた。
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