Piece

４

　「じゃあ私にどうしろっていうの！？」ジョリーンは怒りだした。

「私ばっかり悪者にして！ここでは飼えないし、飼うためにわざわざ引っ越すなんてできないわ！あなたが引っ越しのお金を出してくれるの？家賃を払ってくれる？仕事先を見つけてくれるの？手続きやらなんやら全部引き受けてくれるの？私と彼氏の２人分よ」指を２本突き立てる。

　「誰か飼ってくれる人はいないんですか？ご家族とかお友達とか」

　「両親はとっくに亡くなっていて、親戚とも連絡を取っていないわ。友達も無理。ペット禁止だったり幼い子がいたり、他に動物を飼っていたり犬嫌いだったり。

そもそも引き受けてくれるほど仲良くもないわ。誰も私のことが好きじゃないのよ。私の話なんて誰も聞いてくれない。誰も本当の私を理解してくれない。本当に愛したりもしないんだわ」

　「そんなことはありません。動物は言葉が通じなくても愛してくれます。こちらが愛せば無条件に。性別も人種も見た目も関係なく。それにあなたには彼氏がいるでしょう。彼の方では誰か飼えないんですか？」

　「無理に決まってるでしょ。彼の仲間は動物を飼うような性格じゃないわ。家族とは縁を切ってるし、私のことだってたいして好きじゃないのよ」

　ケイトはサムのような人がジョリーンの彼氏なのだと予測した。その仲間もそうだろう。

　「なら２匹は保護施設へ行くとこになりますけど」

　「そうして頂戴。新しい家の方があの子たちも幸せだわ」ジョリーンは扉を閉めようとした。