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引っ越し
彼は某新聞社の記者で、日本全国に支局がある転勤族である。
結婚して3年ほどして、やはり転勤の辞令が出た。
転勤先は、四国の香川県高松市。
東京で育った私は、四国と聞いただけで、ひどく遠い気がした。
まして、香川県の印象などは全くない。
どんな所かさえわからない。
そして、引っ越しの一番の問題は、ニャンだった。
ニャンのために買ったマンションを、転勤から戻ってくるまで貸すことにし、ニャンも連れて行くことにしたが、ペット可の住宅は、その頃は殆どなく、急だったため、大家さんにはナイショで連れて行くことを決断。
ニャンは、物事をよく理解しているようで、誰か知らない人がいると、隅の方でジッと鳴きもせずに、何時間でも動かなかった。
高松から各地に、何度も船に乗り、新幹線に乗り、転勤を繰り返し、住む家も変わったが、ニャンは、友人以外には見つかることなく、いつも一緒に移動した。
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