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「ルカ、あれ……なんだろう?」
「え?」
それは唐突に庭に立っていた。
「扉……ですね」
紛うことなき扉……それだけが突っ立っている。
「ハル……かな? それともアキちゃん?」
「何の為に?」
レイはイタズラ好きの友人姉弟を名指しで思い浮かべたが、目的がはっきりしない。
「……玄関扉を取り替えなさいって事?」
「却下です。絶対に合鍵を複製されてますよ。僕の居ない間に何があるかわかったものじゃない」
姉のハルが入り浸るのも迷惑だが、弟のアキは未だレイに未練のある様子が窺える。
彼女に近付けてなるものかとルカは眉を吊り上げた。
「ねえ、これ読める?」
不自然な扉には一枚のプレートが掛かっていた。
二人共見たことのない文字だが……
「『その魔法はいつだって世界を変える』の扉
ルキウス・アンナエウス様
レイ・エルシア・アンナエウス様
本日はおめでとうございます。
記念日をお祝いするご用意が出来ております。
どうぞお入り下さい」
「やっぱりルカにも読めるよね? なんで!? 見たこともない文字なのに!」
「それもですが、僕達の名前が入っている事も不気味でしょう」
2人で首を捻ると、レイの脳裏にちらりとよぎったのは隊内での噂話。
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