おかまいなしで異世界

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おかまいなしで異世界

 そうだわ、今夜は大切な舞踏会。  お父様の言うなりに結婚なんてしたくないから、ごねにごねたわ。その甲斐あってお父様が開催を許してくださった舞踏会は三回のみ。  今夜が切られた期限三回目の舞踏会……。  必ず見つけてやるわ。私の描く理想の恋愛結婚をしてみせるんだから。  隣国のガマフィン王子は悪い人じゃない。温厚な人柄で優しくて、会うたびに私への誠意を見せてくれる素敵な人。でもなんか違うのよね。  ときめきがないの。心が熱くなるという『恋』をしてみたいのに、それがない。きっと幸せにはなれるし、国も安泰になる。政略結婚は当たり前なんだと育てられたけど、心に熱いものがほしいの。ガマフィン王子じゃ熱くなく、温くなる程度かなって先が読めちゃうから……ゴメンナサイ。    次から次へ我こそはと名乗りをあげて私の手をとる王子たち。さすがは洗練されたリードをみんなしてくれるけど、どうしても温いのよね。  ラストチャンスの舞踏会。せめて自分で選びたい。この中だったらガマフィン王子になるのかな。諦め混じりでガマフィン王子になっちゃいそう。ごねて抗っても変えられないものはあるのかもね。  私の思考がガマフィン王子で落ち着きかけたその時!  目の前に、彼は現れた。
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