二十歳の衝動

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 そうだ。俺はまだ幼稚園のころから、こいつに恋をしていた。孝太は男だから嫁にできないと親に諭された日は、駄々をこねて大泣きしたものだ。 「……何、食いたい?」 「やった! 俺ねー、ハンバーグがいいな。中にチーズが入ったやつ。あと、プリン!」 「面倒くせぇな。ハンバーグは作るけど、プリンは無理。セブンマートのプリンに勝るものは、だれにも作れねえだろ」 「おまえ、好きだよなー、セブマのプリン」 「おう」  なんだかんだ言いながらも、俺は大学の講義のあとスーパーに寄って、ひき肉とタマネギを買う。結局俺は、孝太には絶対敵わないのだ。  ピザ用チーズはまだ冷蔵庫に残っていると思ったら見当たらなかった。普通のハンバーグを作ったけれど、孝太は喜んで食べていたから、まあいいだろう。洗い物は孝太にやらせて、風呂に入る。  孝太はいつもどおり泊っていくことになった。孝太が泊まるとき、俺はなんだかんだ理由をつけて彼より遅く寝るようにしている。
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