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ドアの鍵の開く音で目を覚ました。時刻は五時。いつの間にか眠ってしまっていたようだ。りなは重い体を起こし、リビングへ向かう。
「ただいま、りなちゃん」
姉がいた。
「お、おかえり」
りなが声を出すと、かれんはにこ、と笑った。
「夕飯、どうしたの?」
かれんの声で、りなは寝る前のことを思い出した。
「あ、えっと」
どうしよう。どうしよう。怒られる。お姉ちゃんに怒られる……!
「ごめんなさい! どうしても作る気にならなくて、寝ちゃってたの。本当にごめんなさい!」
りなは正直に話し、かれんに土下座した。
あぁ、だから私はだめなんだ。せいぜいできることといったら家事くらいなのに、それをしないで。だらだらと昼寝をして。気づいたら姉に怒られるんだ。もう。もう。私なんか。
涙がボロボロと溢れ出す。床に黒いシミがつく。
「りなちゃん、そこまで謝らなくてもいいのよ。誰だって、調子の悪い時はあるわ。顔を上げて」
言われた通り、りなは顔を上げる。
「あら、泣いてるのね。ごめんなさい。私も責める気はなかったのよ」
かれんは微笑みながら、りなにティッシュを差し出す。りなはそれを受け取り、顔を拭いた。
「そうねぇ」とかれんは提案する。
「今からスーパー行ってくるわ」
「でも、お姉ちゃん疲れてるでしょ」
「まぁね。でもまだ動けるわ。りなちゃんも来る?」
「いいの?」
「もちろん」
姉の優しさに、りなは少しだけ幸せのようなものを感じる。こんな私でもいいんだと、認めてくれる人がいる。それは嬉しいことだ。
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