202×年の私へ

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202×年の私へ

───ねぇ、この声が聴こえる? 少女は誰かに問いかける、否それは世界そのものに訊ねているのだろうか? 至って普通の人間である彼女は突如空に現れた裂目と共に姿を現したんだ。 見ている光景は、現実か幻なのか。区別さえつかない、なのに何処か見いってしまう少女はワンピースを身に纏い髪を下ろした状態で天(そら)を見上げていた。 「あれ、ここは…?」 ふと、視界に飛び込んだ世界を見渡して驚愕してしまった。確かに現象世界に居た、だけど自分が知るセカイとは少し異なっていた為に頭が混乱してしまう。 「お母さんは、どこ?」 母親とショッピングに来ていた、ただそれだけの筈だ。なのに目の前に広がる光景は衰退(すいたい)した日本だった。 「違う、似てるのに……私は。違う、分からない…何に?」 人々が行き交う見慣れた筈だった街並み、だけどそこはどこか異質なのだ。混乱するのも無理は無い、だって一緒に居た筈の母親が急に姿を消していたのだから。 迷子にでもなったか?一瞬そう考えたのに、何かが違うと本能が警鐘を鳴らすんだ。
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