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8.【下ごしらえ】その1
彼女の望みどおり、薄暗く狭いその部屋に案内した。1階の外れに位置し、居室とは隔離された空間だ。窓は無く外部に通じる扉が一つ設けられてはいるが、格子が施され固く閉ざされている。この部屋に女性を招き入れるのは、今日が初めてだ。
部屋に入り扉の前に立つよう促すと、彼女は素直に従った。強張った表情からは緊張が伝わってくる。俺の指示通り、着替えを済ませていた。
レース生地のエプロンから露出する生肌が視線を惹きつけ、レースを押し上げ窮屈そうにしている胸元が釘付けにする。彼女の動きに合わせ、湿った髪から漂う甘く上品な香りが鼻を擽り、興奮を掻き立てていった。
不安そうに立ち尽くす彼女をよそに、俺は背を向けて素早くソレを取り出した。状態を確認すると、適度な湿り気を含み黒光りを放っている。
『ヒヒッ、よしよし。良い頃合いだ』
右手で根元を握り一撫でした後、ゆっくりと振り返り彼女に披露した。反り返った突起物は電灯の光りを浴びて、壁紙にシルエットを浮かび上がらせた。
あっ!
言葉にならない彼女の声が聴覚を刺激し、興奮が瞬時に湧き上がった。今直ぐにでも調理したい欲望を押し殺し、手のひらで弄びながら彼女の様子を窺うと、目を見開き、すぐさま視線を逸らせた。
逃すわけがない。狙いを定めた獲物に突進するライオンのように、すかさず追い掛ける。
「コレが何か、分かるよね?」
彼女は無言で頷き、目のやり場に困ったように俯いたが、時折目線を上げる仕草は満更でもなさそうだ。確かな手応えを感じ、何とも言い知れぬ感情が込み上げて来た。
「いいんだよ、触ってごらん」
ビクン!
俺が言い終わるのとほぼ同時に、彼女は肩を大きく弾ませた。猛獣に追い詰められ恐怖に慄く小動物のように、肩は小刻みに波打ち続けている。その反応は俺を十分に満足させ、ソレを握る手に力が入った。
『この女の身体に、俺の嗜好をたっぷり教え込んでやる。ヒッヒッヒッヒッ』
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