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9.【下ごしらえ】その2
「コレが気になって仕方なかったんだよね?ショップでの会話の最中もずっと、違うかい?」
「ち、違、、、」
肩をすくめ立ち尽くしている彼女を見つめ、ネットリとした口調で問い掛けた。彼女の動揺は手に取るように分かる。首を横に振り否定したかったのだろうが、言葉が縺れ、語尾を詰まらせた。
「違う?見ていたのは知ってるんだよ。今日ここに来たのも、そうなんだろう?」
「ち、違、、、ぅゎ、、、」
首筋を舐めるように視線を上げていき、少し強い口調で問い質すと、彼女は首を横に振って否定した。しかし、その後の言葉が続かずまた黙り込んだ。
『フフフフッ』
俺には分かる、彼女は待っているのだ。大人に怒られて言い訳することができず、ただ俯く事しか出来ない子供のように。許しの言葉を待っているのだ。
そんな彼女を尻目に、俺は沈黙を続ける。そうする事で嘘を付いたことに対する罪悪感は増幅し、羞恥心が芽生えるからだ。
静寂が支配する空間を雨音だけが駆け抜けていく。思惑通り、彼女の表情は徐々に強張っていき、今にも泣き出しそうな顔が、時は満ちたことを告げていた。
『そろそろ、いいだろう』
右手を伸ばして彼女の頭の上にそっと添え、先程とは打って変わった優しい口調でこう告げた。
「いいんだよ。正直に、言ってごらん」
その言葉が、心の中で眠っていたもう一人の彼女を目覚めさせたのだろう。頬を赤らめ目を潤ませた。
「さあ」
御仏に仕える聖職者のように、背中を優しく押してやると口元は徐々に開かれていった。
「は、はい、、、み、見て、いました、、、」
安堵からなのか、心のたがが外れたように掠れ気味の声で懺悔を始めた。
『よしよし、いい子だ。ご褒美をあげよう』
髪に添えていた手をゆっくり動かすと、瞳を閉じた彼女の吐息は間隔を狭め、はっきりと聞こえる程になった。吐息が歓喜の声に変わり始めた事を確認し、か細い腕を掴んだ。そして手のひらを強引に開かせ、皮を被ったままのソレを力強く押し付けた。
一瞬、なにが起こったのか分からなかったようだ。異物の感触で開いた目は、襲い掛かる突起物の出立ちで更に激しく見開かれた。
「あっ、いやっ!」
指を仰け反らせ、上擦った声で拒絶を主張するが、その言葉とは対照的に手を避けようとはしない。
「いいんだよ、握ってみなさい」
優しく諭すように囁くと、指を小刻みに動かすが握ろうとはしない。まだ迷いがあるようだ。
『言うことを聞かない悪い子には、お仕置きが必要だ。ヒッヒッヒッヒッ』
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