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「あの、ここの警備ってどうなってますか?」
単刀直入な質問に、修道女達は忽ち顔色を曇らせ、修道院長は諦めを孕んだ溜息を漏らした。
「武術の覚えのある者達に見張りを頼んでいます。皇女様の護衛であった者も暫く警備を担うとは言っています」
そうは言うが詰まる所、手薄ということである。
この修道院の安全はこれまでセリカ皇女の顔と名前で守られていたようなものだ。
墓荒らしに関しては見張りで何とかなるかも知れないが、皇女が亡くなった今、家庭内暴力から逃げて来た修道女達自身の身の方が危ないかも知れない―――。
そう考えたカルディナは、戻り支度をしている下士官を呼び止めた。
そして、いくつかの相談の後、通信の戻ったビートルでアウディシア領地内にいる部下達に連絡。
再度、下士官達に頼み事をした。
「では、後はお願いします」
「了解‼」
申し送りの後、敬礼で下士官達に後を頼む。
その様子に修道女達は何だろうと小首を傾げた。
「皆さん、今ほどカローラス軍より一個中隊と必要な武器を持ってくるよう手配しました。三十分程掛りますので、その間は今ここにいる下士官達を置いていきます。帝国軍がちょっかい出しに来ても暫くは持つと思います。もしも危うくなったら連絡してください。助けに行きます」
簡潔に告げたカルディナに、修道女達は息を呑んだ。
帝国の人間である自身等の為に戦力を割いてくれた彼女に、修道女達は感謝のあまり涙を浮かべて感謝を伝えた。
「さてと…、行こうか、セルシオン」
出立の準備が整い、カルディナはお行儀良く待っていた機械竜へと身を翻す。
修道女達が羨望の眼差しで見送る中、久しぶりに乗る戦闘用ボディのコックピットに彼女は精悍な顔付きをして乗り込んだ。
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