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「しかし、よく婚前検査なんて知ってたねぇ?意識高いと言うか…」
検査結果表を返しつつ、ヴォクシスはトドメの一言。
初心なフォルクスはボッと顔を赤らめた。
「…声に出さないでくださいよっ…、たまたま院内の掲示板にあったのを見かけたんです…。もし、縁あってその時が来たとして、自分が病気なり疾患持ってたとか辛過ぎるんで…」
拗ねたように理由を話す彼に、医師達もヴォクシスもニコニコ。
崩壊した天空要塞にて、勢い余ってカルディナに二度目の告白をした事は既に周知の沙汰である。
全く、人の口には戸は立てられないものだ。
「それなら、早く彼女からの返事を聞かせてもらわねばならんかね…」
不意に聞こえた声に、不機嫌そうに誰だと振り返ったフォルクスは目を剥いた。
「ハスラー博士!」
思わず声を上げた彼に、博士は会釈で微笑む。
監視の下士官達とカルディナの担当医に付き添われながら現れたのは、ハスラー博士とその愛弟子イスズだった。
曰く、二人とも戦犯として裁かれたものの皇帝に逆らえなかった状況やエノーラ及び天空要塞の解体に尽力した功績から、情状酌量の余地ありとして投獄を免れ、代わりにカルディナの治療回復を命じられたそうだ。
また無事に彼女が回復すれば、国王より恩赦も受けられることにもなった。
「私は元々、再生医療の専門医です。全力を尽くすことを誓いましょう…」
「クロスオルベ侯爵は私達の命の恩人です。必ず助けます…!」
そう意気込む二人に、フォルクスとヴォクシスは見えた希望に笑みを零し、心からの感謝と敬意を示した。
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