目が覚ますと、傍らにイケメンが

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 青ざめた顔で自分の衣服を調べる。髪はボサボサ、スーツはしわだらけになっていたが、大きな乱れはない。 「たまたま声をかけたのが僕だったからよかったものの、そこらの不届き者に拾われていたらどうなっていたことか」 「え……何もされて、ない?」 「当然です」  きっぱり断言する男性の顔を見て詩織は息をのむ。  黒髪にもかかわらず、その端正な顔立ちや白い肌はどこか日本人離れしていた。特に彼の灰色の目は、おとぎ話の世界に迷い込んだのかのような錯覚を引き起こす。 「女性が正体をなくすほどお酒を飲むなんて感心しませんね。あれじゃ何をされても文句は言えませんよ」  男性はミネラルウォーターのボトルを詩織に差し出した。「ありがとうございます」と詩織は反射的に受け取ってしまう。 「その様子では、昨夜の記憶は?」 「……覚えていません」 「契約のことも、ですか?」  彼の遠慮がちな質問に首を傾げる。 「契約?」  詩織は慌てて昨夜の記憶を手繰(たぐ)りはじめた。 
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