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「よかった。僕たちをつなぐ家族が早くほしいです」
熱い息とともに吹き込まれる彼のささやきに、体の芯がとろけてしまいそうだ。
「わたしも……佳人さんとの赤ちゃんならほしいです」
「この状態で煽らないでくださいよ。止まらなくなりそうだ」
「煽ってなんか……アァンっ」
佳人は詩織の足を肩まで持ち上げ深くつながる。初めての体勢だが、一番深いところまで挿入されて詩織はわけがわからなくなる。
「気持ち、いぃ……っ」
「イイですか?」
彼の誘導に詩織はこくりとうなずいた。このまま境目がなくなるくらい溶け合ってしまいたい。
「僕も、最高です」
腰の動きが徐々に速くなり、詩織は快楽の高みに一気に押し上げられた。
「好き、好きです……佳人さん……っ」
佳人は返事をする代わりにいったん腰を引き、奥へ突き刺すように打ちつけた。
「や……ああぁっ!」
頭が真っ白になった。体の奥が痙攣しているにもかかわらず、貪欲に佳人を締めつけて離さない。
彼の小さな呻きを聞いた直後、奥で熱が広がるのを感じた。薄膜越しでも伝わる熱に詩織はさらに達してしまう。
倒れ込んでくる背中を抱きとめると、無性に泣きたくなった。
怖いくらいに体が、心が、満たされている。
「愛しています……佳人さん」
詩織の言葉に応えるように、まだ息が整わない佳人が体を起こして額にキスを落としてくれる。
彼の顔からは先ほどの余裕の色は見えなくなっていた。
目の前にはただ、詩織に溺れた男がいる。
「だから、煽られると止まれませんよ」
「あ……っ」
詩織に中の彼自身が、硬度も質量も増した気がした。
「詩織……っ」
佳人の囁きが朦朧としていた意識を現実に引き戻した。
初めて、名前を呼び捨てにされたのだ。どんな事態でも「詩織さん」と呼んでいた彼が。
女性を呼び捨てにするとしたら、未来の妻か娘――という彼の言葉を思い出した。
もう、自分は佳人の妻なのだ。
「佳人さん」
胸が熱くなって、詩織の唇は夫の名を紡いでいた。
ベッドに移動してからも、何度か避妊具を替えて佳人とつながった。途中から達した回数を数えるのも忘れ、二人で腰を揺らし続けた。
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