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シュタイナーは散々砂浜を楽しんだ後、また飛び立った。今度は前よりもはるか上空へと行き、街を見おろせる高さへと行った。
(ひとまず、向かうはベルスか?王都に直接向かってもいいが……)
シュタイナーが悩んでいると、左にみえる大きな深い森の中に淡い赤色が基調の大きな建物群が見えた。建物群の前方には豪華な庭園、の代わりに平らな土の土地が広がっていた。建物全体の様子はさながら学校のようである。
近づいていくうちに、とてつもない人数の訓練された魔力を感じた。ただの地方貴族の屋敷ではないようだったのでシュタイナーは興味が湧いて、その建物に寄っていくことにした。
正門らしきところに着くと、そこは平らな土の土地とは反対側で、門の中はよくある貴族の庭、といったようなものが広がり、大きな鉄の門は固く閉じられていた。見張りの者は誰もおらず、シュタイナーはますます訝しんだ。貴族がパーティーでもやっているのなら、当然見張りや警備の者は普段より多く用意しているはずだったからだ。
建物のカーテンは全て閉まっており、中の様子を伺うことはできない。
シュタイナーは重たげな門を体重をかけて開けると、門はギシギシと唸った。シュタイナーが敷地に1歩足を踏み入れると、目の前に金髪の少年がどこからともなく現れ、シュタイナーの前に立ちはだかった。紺色が貴重の服を着ていて、まるで貴族の子供か寄宿学校の制服かのようだった。
「何者だ?」
金髪の少年は警戒心を剥き出しにして問うた。
「俺は旅人だ。近くを通っていたらここが見えたから、何の建物か知りたくて来た。」
「嘘つけ、力試しの冒険者だろ。来いよ、俺が相手してやる。」
そう言うと少年は手のひらを上に向けて、手を何度か倒した。
シュタイナーの心は憂鬱だった。トレントの予想は当たっているかもしれなかった。
「俺は争いたいんじゃない。」
「もう騙されないぞ。」
そう言うと少年は舌打ちをして手を前に突き出し、炎の球を創り出してこちらに打ち出してきた。それと同時にこちらの懐に少年自身も飛び込んできた。シュタイナーは火球を指で弾け消すと、飛び込んできた少年の打撃を避けて力を利用して受け流し、足を引っ掛けて倒した。少年はその年齢にしては強かったが、シュタイナーの障害にはなりそうもなかった。
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