王都ヘルセルナ

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王都ヘルセルナ

シュタイナーは荷物を全て持ち、またすぐに飛行した。今度は先ほどまでのゆったりとした旅ではない、全力の飛行"魔法"だったので目を覆う眼鏡を必要とした。 金色が基調の豪華で美しい大都市、王都ヘルセルナに着くとそこは以前よりも発展していた。街を行き交う人々の数も50年前よりはるかに増え、金色が(ちりば)められた建物の装飾も以前にも増して豪華で美しくなっていた。 シュタイナーは人混みをかき分けながら全速力で走って追ってくる衛兵を撒き、丘の上にある国王の居城へと向かった。途中で老婆にぶつかったが、シュタイナーはそれを無視した。良心が咎めていたが、この老婆以上の圧倒的な犠牲を防ぐためだと自分を納得させた。 「アコスを連れてこい。」 シュタイナーは、歩みを止めさせようとする衛兵たちを押し倒しながらヴィルセルン王国国王の政務室に入るとそう言った。室内にいた衛兵がこちらに近づいてこようとする。国王の席には若き好青年が座っていた。青年は長めの金髪に知性的な青い目をしており、とても中性的な整った顔立ちであった。 「何者だ?」 「シュタイナー。アコスの命の恩人だ。早く連れてこい。」 若き国王は困惑と訝しみの表情を顔に浮かべていたが、一人の使いをやった。 「いいのですか?このような者の勝手を許して。」 使いが部屋を出たあと、茶色い長い髪をクルクルと巻いている痩せた男がそう国王に強く訴えた。すると青年はため息をついて言った。 「よく考えろよグレイス。彼がここに来るまでに何人の衛兵がいたと思う?抵抗は無意味だよ。」 青年の落ち着き払った態度にシュタイナーは好感を覚えた。シュタイナーは頭のいい人間が好きだった。 「話が早くて助かるな。」 シュタイナーは国王の机に近づいていき、青年がかなり多い量の魔力を有していることに気づいた。目覚めてから見た中でシュタイナーの次に魔力が多いのはアルダーだったが、その次に入るのはこの若き国王だった。 「な、なんだぁ!?ランド!俺はなんにもしてないぞ!!!」
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