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「……は?」
想定外の呼びかけを受けてシュタイナーは出鼻を挫かれてしまい、頓狂な声を上げた。しかしそうさせた当の本人は少しこちらをからかうような顔で立っている。スラリとした体型に長い足、モデルのような体のバランスに顔立ちをした若そうな男である。
「どうしました?」
「俺がお前の主だと言ったのか?」
「ええ、その通りです。50年前から。」
「どういうことだ?」
「魔王様とのお約束をお忘れになられたのですか?」
「……約束?」
シュタイナーは記憶を探ってみたが、ぼんやりとしたイメージがあるだけで具体的なことは思い出せなかった。
「覚えておられないようですな。」
若い男の隣にいた老齢そうな白髪の男が言った。男は黒一色のスーツに似た服装をピシッと着こなしており、さながら執事のようだ。
「ともかく今のお前たちに敵意はないんだな?」
「ええ、もちろんですとも。」
「聞きたいことが山ほどあるが、まず先に食事と座れる場所がほしいんだ。」
「お任せ下さい。」
老齢そうな白髪の男が言った。すると、広間に大きな机といくつかの椅子が出てきてテーブルクロスやワイングラスなどが用意され始めた。シュタイナーの驚きを他所に『四天王』の3人は食事の支度を始めた。彼らが直接触れるのではなく、さまざまな魔法的な手の動きによって。
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