魔法

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シュタイナーは厳しい魔法と政治の勉強ノルマをギリギリでこなし続けていた。最近は『四天王』たちと魔法のみを使った手合わせをしたり、少しずつ国家運営に参加するようになっていた。 「ところで」 シュタイナーが魔法を放ちながらトレントに尋ねた。 「仮に無事やるべきことを終えられて大陸が元に戻ったとして、そのあとどうやって世界を平和にするんだ?」 トレントは魔法を防ぎ、カウンターを打ち返しながら言った。 「分かりません。それを考えていただくのも魔王代理(あなた)のお仕事ですよ。我々の外の世界が今どうなっているかは皆目見当もつきません。」 シュタイナーは魔法を撃つのをやめ、口を半開きにした。 「……ほんとに?」 「本当です。もともと魔族領は人間たちと海で隔てられた大陸ですし、そこにもしっかりと(シールド)はあります。人間たちの領土にいる間者(かんじゃ)とも連絡は取れていません。なので今の情勢は全く掴めていませんよ。」 「あの時もっとよくよく考えるべきだったな。なぜこんな不安な方法を選んだんだ、魔王(あいつ)は。」 「そうだ、一つお渡しするものがありますよ。」 トレントが唐突に思い出したように言った。するとトレントは胸元のポケットに手を入れて何かを探り、手に掴んでそれを取りだした。 「なんだ、それは?」 トレントはその手に透き通ったエメラルドのような小さくて丸い水晶を握っていた。 「私にも分かりませんが、50年前に魔王様からあなたにお渡しするよう言われたのです。すっかり忘れていました。」 トレントの適当さにシュタイナーはため息をついた。そんなことで大丈夫だろうか?と一抹の不安を覚えつつ、シュタイナーはその水晶を受け取った。するとその水晶はシュタイナーに反応するかのように一瞬輝き、そして元のように戻った。輝いた瞬間、その水晶は熱いと言えるほどの熱を持った。 「名前はたしか、アグノリアル石とか。」
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