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ボックス席の怪しげな3人組からも賑やかな声がする。
「私、お酒飲めませぇーんっ!ノンアルでっ!」
その声に葉月は首を傾げた。
かなり大騒ぎしていたように見えたから、てっきり泥酔してるのだと思っていた。
楽しい雰囲気がそうさせていたのだろうと考えて、小さく笑った。
手を上げてマスターに主張するその女性と、ふと目が合う。
こちらが笑顔を浮かべて見ていたせいか、その女性もへろっとした笑顔で小さく会釈した。
何だか顔の造作が自分と似ているように思えて、親近感を覚えてしまう葉月だった。
「アキ、大丈夫か?ほんとビックリしたよ。あんないかつい大男に攻撃し掛けに行くなんてさ」
筋肉大男を相手に戦ったアキの腕や足を、ハルが擦りながら眉尻を下げる。
「あぁ、大丈夫だよ。子どもの頃からやってた空手が役に立って良かった」
「あんまり危ない事しないでくれよ。気にすると思って言わなかったけど、本当はアクションやってるのだって心配で仕方ないんだよ。
いつか大きな怪我でもするんじゃないかってさ」
「そうだな。確かにアクションばっかやってるとさ、本当に自分が無敵だと勘違いしちゃうフシがあるんだよな。気をつけるよ」
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