四頁

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2回目に島父の姿を見たときには 1回目の時と比べ おぞましい雰囲気をまとっていました。 顔中血塗れだったからでしょう。 男の子の返り血を浴び、顔の4分の3程が 赤く染まっていました。 その光景が 中でどんな事をされたか物語っているようでした。 島父が姿を現してから しばらく静寂がその場を包み込みました。 島父の方を見ると ぎょろりぎょろりと私達を見ていました。 次のターゲットを探しているのだとすぐに勘付きました。 ですが、運もそこまで 私と目があってしまいました。 島父を観察しようと考えたのが間違いでした。 次はサクラちゃんおいで 列の真ん中に居た私は島父がこちらに来ない限り手首を掴まれる心配はありませんでしたが後ろから強い衝撃が走りました。 クラスメイトの誰かに背中を押されたのです。 私はよろめきながら だんどんと島父の方に意図せずも近づいていったのです。 また先程まで目の前にいたクラスメイトも 左右にばらけ私の前進を止めるものは 誰一人居ませんでした。 人は仲間と恐怖を天秤にかけたときに 仲間を裏切る方を選ぶのだな 今まで積み上げた絆も恐怖の前では リセットされるのだなと 一種の感動を覚えました。 やがて島父の前につき 手首を掴まれ、家の中へと引きずり込まれました。 家の中に入ると 汗臭いもわっとした臭いが私の嗅覚を刺激しました。 所々虫達もおり、まるでそこは廃墟と言われても疑わない建築物でした。 ずたずたと手首を強く掴まれながら 家中を歩き回りました。 中は暗く、暑く、床には赤黒いシミが見えます。 やがて目の前に一つの部屋が見えました。 中に入り 島父がそう言うと また横開き式のドアを強引に開けました。 中には両親が正座して座ってこちらを見ています。 なぜ私の両親がここに居るのか 私は理解が追いつきませんでした。 その呆気に取られた様子をみた 島父が口を開きます。 君は選ばれたんだ。光栄に思ってね 何に選ばれたのだろう?今度は疑問が私の頭を埋め尽くし、より混乱をしました。 その瞬間です 先程まで座っていた 父親が急に立ち上がり 私の方へ足早に向かってきました。 私の目の前に立つな否や 父は右手を天に大きく上げました。 その右手を見てみると 何かを持っています。 やがてその掲げた右手はゆっくりと私の額目掛け落とされました。 ゆっくりと振り下ろされる中で 父が何を持っているかしかと確認出来ました。 とんかちです。
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