3人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
君が好きだ
数式をといていたら、頭にポコっと何かが飛んで来た。
消しゴム?
消しゴムだけど、紙でつつんである。
『今日昼メシ何食う?』
包んでいた紙には、それだけ書いてある。
それを飛ばしてきたのは、斜め後ろに座ってる三木だ。
振り返るとニコっと笑って手を振ってきた。
わざわざ消しゴムを小さく切ってまで書く内容じゃないだろ。
授業中に何やってるんだ…、あいつは。
そう思いつつも嬉しい自分がいる事に俺は気が付いている。
この消しゴムも、手紙も、俺にはきっと捨てられない。
俺は三木に友達以上の想いを持っている。
男が男を好きなのはおかしいだろうか…。
きっと、『おかしくない』と言う人は沢山いる。最近は同性の恋愛を否定する人は減っていると思う。
けど、その対象を自分に向けられた時、どう思うだろう。
他人を見ているのと自分に起こるのとでは、きっと違う。
だから、怖い。
自分の気持ちに正直になんてなれない。
好きになったのが男だっただけ。
ただそれだけ。
俺のように男を好きな男はきっといる。
それが君だったらいいのに。
俺は今日も嘘をつく。
本当は好きなのに、友達のふりをして…。
君と恋人になりたいと、心の中で願いながら。
最初のコメントを投稿しよう!