3章 立派な人間になるための対処法事件

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「茄子は当時からしたら外国から入って来た貴重な野菜。貴重ってことは、その分霊験あらたかな野菜でもあるってこと」 「外国からきた野菜……今でいう【アボカド】みたいな感じかな?」  樹里が素晴らしいことを思いついた。 「ひひひひひんひひ、ひひひひひーん(アボカドだったら、食べられる)!」  私の心に光がさしたが 「ダメに決まってるでしょ?」  あざれがそれを瞬く間に消しちゃった。 「名前でも分かる通り、茄子は【成す】に繋がるんだから、変化(へんげ)において意味のある野菜なのよ。代わりなんてできないわ」 「ああ、そっかー」  樹里が納得して、うんうんと頷いている。  どうしても茄子を食べないといけないみたい。 「そうなると東に向かってなっている実……にも意味が?」 「あるわよ。神聖な朝日を一番に浴びることのできる貴重な実のはず。違う実を食べたら、意味がないわ」  言われなくても、違う実なんか余計に食べないわよ。 (だって、嫌いだもん) 「と、いうことは……やっぱり七つ山越えなきゃだめだね、奈津」 「ひひひーん」  私は、再びいなないた。 「四の五の言ってないで、体よく馬になってんだから、さっさと七つ山くらい駆けてきなさいよ」  あざれが追い打ちをかけるが、次郎さんが 「お前が余計なことしなきゃ、こんなことにならなかったんだが、なあ」  と忌々しそうに拳を作ってみせた。
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