9人が本棚に入れています
本棚に追加
「茄子は当時からしたら外国から入って来た貴重な野菜。貴重ってことは、その分霊験あらたかな野菜でもあるってこと」
「外国からきた野菜……今でいう【アボカド】みたいな感じかな?」
樹里が素晴らしいことを思いついた。
「ひひひひひんひひ、ひひひひひーん!」
私の心に光がさしたが
「ダメに決まってるでしょ?」
あざれがそれを瞬く間に消しちゃった。
「名前でも分かる通り、茄子は【成す】に繋がるんだから、変化において意味のある野菜なのよ。代わりなんてできないわ」
「ああ、そっかー」
樹里が納得して、うんうんと頷いている。
どうしても茄子を食べないといけないみたい。
「そうなると東に向かってなっている実……にも意味が?」
「あるわよ。神聖な朝日を一番に浴びることのできる貴重な実のはず。違う実を食べたら、意味がないわ」
言われなくても、違う実なんか余計に食べないわよ。
(だって、嫌いだもん)
「と、いうことは……やっぱり七つ山越えなきゃだめだね、奈津」
「ひひひーん」
私は、再びいなないた。
「四の五の言ってないで、体よく馬になってんだから、さっさと七つ山くらい駆けてきなさいよ」
あざれが追い打ちをかけるが、次郎さんが
「お前が余計なことしなきゃ、こんなことにならなかったんだが、なあ」
と忌々しそうに拳を作ってみせた。
最初のコメントを投稿しよう!