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それが私たちのすぐ隣、3mしか離れていない所で起こった惨劇だった。
「うそっ?!」
樹里が叫び声を上げた。
不幸にもこんなところまで飛んできたロケット花火が、私たちの着火剤に当たって倒れた。
どろりと着火剤が流れ出し、落ちたロケット花火がそこで爆ぜる。
今度は私たちの目の前で、もうもうと恐ろしい火柱が上がった。
「きゃああああああ!」
樹里が私にしがみついた。
走ったら、昼に遊んだ川まですぐだ。
真っ暗で怖いけど飛び込もう。
助かるにはそれしかない。
そう思ったけど、私も樹里も突然の事態に足がすくんでしまっていた。
「あっはははは」
突然、立ち込める煙の中から高笑いが聞こえた。
向こうの家族連れの上空に、それはいた。
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