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「今、8時過ぎだよ。こんな時間に修行者の人も歩かないよ」
「そっか……。ごめん。確かによく考えたら、山の中を歩いているにしては木々で邪魔されてよく見えないはずなのに、あんなに白く浮き上がって見えるのって変だよね」
樹里が苦笑いを浮かべた。
樹里と付き合って2年経つ。
最初は私もびっくりしたけど、樹里にしては日常茶飯事。
こういうことに慣れっこで、今更怖いとかはないみたい。それが私にも伝わって、樹里のスピリチュアルな発言にぞっとすることはあっても、長くは引き摺らないようになっていた。
「あ、また流れ星」
山の際の夜空に、またもや幾筋かの流れ星を見つけた。
「え? どこ?」
樹里は白い装束の人に気を取られて、流れ星を見つけ損なっていた。
「ほら、あそこだよ」
流れ星の方向を指さした。
樹里はやっぱり、手をかざして「どこ? どこ?」と私の指した方向を見た。
「えーん。分かんない。私も願い事したいのに……」
樹里はまだ見つけられないみたい。
それにしても今日はよく星が流れるな……と思ってたら、
「あ、あれ? なんか流れ星がこっちに向かって……」
「え?」
星が向きを変えて、こっちに落っこちてきた?!
嘘でしょ?
流れ星が急に向きを変えるなんて、アリエナイ!
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