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颯太0歳、真希31歳
「痛いの痛いの、飛んでいけ〜」
昔、私が怪我をすると母が撫でてくれた。
不思議な事にその呪文で、まるで鎮痛剤のように痛みが軽減された気がしていた。
「…何かの病気だったらどうしよう…」
火がついたように泣き叫ぶ我が息子、颯太。
なぜ泣いているのか教えてくれるとありがたいが、なんせまだ『ずりばい』が出来るようになったばかりの生まれて7ヶ月の赤ちゃんだ。泣くしかない。
クリスマスイブの夜、夫は仕事で帰りが遅く、頼ることは無理だとわかっている。
オシメも濡れていない、服もよれていない、ミルクは…そろそろ時間だが、こうも泣かれていては準備すらままならない。
熱はない。咳も鼻水もない。
もしかして、お昼に食べた離乳食で食あたり!?
血の気がひき、慌てて母子手帳を準備する。
時計は18時を回ったところだ。
夜間診療の時間だけど、受診しようか。
私は夜間も受け付けてくれる小児科に電話をする。
颯太の泣き声で通話しにくかったが、そばを離れることも出来ず難儀した。
とにかくすぐに来院してくれとの事だけど…病院まで若干距離がある。
ウチは車を持っていない。旦那も自転車通勤だ。
普段はバスを利用するが、泣き叫ぶ颯太を連れての乗車は無理だ。
かなりの痛手だが、仕方ない。タクシーを呼ぼう。
こうしている間にも颯太は泣き続ける。
こんな小さな身体でどうしてこんな大きな声で泣き続けることができるのか。突然力尽きて死んでしまったりはしないか。そんな不安が私を襲う。
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