22人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「い、痛いの痛いの、飛んでいけ〜」
少しでも泣き止んで欲しいと願った私は、颯太のお腹に手を当てて呪文を唱えた。
その瞬間、私の下腹部に強烈な痛みが降りてきた。
「痛…何これっ…!」
泣き続ける我が子を抱かえたまま、トイレに走る私。
「私までって、やっぱり食あたり…?」
しかしトイレではなんの解決にもならなかった。
携帯の呼び出しが鳴り、タクシーが家の前に到着した事を知った。
慌てて身支度をし、おくるみを多めに持って颯太を抱かえ、外に出た。
その時は自分の腹痛で余裕が無く、颯太の泣き方が少し落ち着いていたことに気が付いていなかった。
「便秘ですね。離乳食を始めた頃はなりやすいから」
お医者様が処置を済ませ颯太がスヤスヤ眠る頃には、不思議な事に私の腹痛も治まっていた。
お医者様は数日分の整腸剤の処方とマッサージなどのホームケアが記載された冊子をくれた。
「気付いてあげられなくてごめんね…」
泣き疲れた颯太と一緒に、バスを利用して帰宅した。
大きな病気でなくて、本当によかった。
そして後日、私自身に不思議な能力がある事に確信を持った。
「もしかして……世の中のお母さんって、みんなそうなの?」
最初のコメントを投稿しよう!