颯太0歳、真希31歳

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「い、痛いの痛いの、飛んでいけ〜」  少しでも泣き止んで欲しいと願った私は、颯太のお腹に手を当てて呪文を唱えた。  その瞬間、私の下腹部に強烈な痛みが降りてきた。 「痛…何これっ…!」  泣き続ける我が子を抱かえたまま、トイレに走る私。 「私までって、やっぱり食あたり…?」  しかしトイレではなんの解決にもならなかった。  携帯の呼び出しが鳴り、タクシーが家の前に到着した事を知った。  慌てて身支度をし、おくるみを多めに持って颯太を抱かえ、外に出た。  その時は自分の腹痛で余裕が無く、颯太の泣き方が少し落ち着いていたことに気が付いていなかった。 「便秘ですね。離乳食を始めた頃はなりやすいから」  お医者様が処置を済ませ颯太がスヤスヤ眠る頃には、不思議な事に私の腹痛も治まっていた。  お医者様は数日分の整腸剤の処方とマッサージなどのホームケアが記載された冊子をくれた。 「気付いてあげられなくてごめんね…」  泣き疲れた颯太と一緒に、バスを利用して帰宅した。  大きな病気でなくて、本当によかった。  そして後日、私自身に不思議な能力がある事に確信を持った。 「もしかして……世の中のお母さんって、みんなそうなの?」
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