1

7/23

588人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
タクシーが小太郎君の家の前で止まり、ドアが開いたので私が先に降りる。 小太郎君が支払いをしている間に、急いでお財布の中から千円札を数枚取り出す。 「小太郎君、ありがとう。」 「・・・はあ!?いらねーよ!! 大金持ちの俺が、何で真知子から金取るんだよ!!」 小太郎君はそう言って、私の横を通り過ぎ・・・ 大きな大きな一軒家の門を開ける。 「・・・親いねーし、入るか?」 「夜中にならないと、オジサンいつも帰らないのに。」 「・・・うるせーよ。」 「じゃあ、お邪魔します。」 閑静な住宅街のとあるエリア。 このエリアには大きな大きな一軒家が集まっている。 小太郎君の実家も、そんな一軒家の1つ。 このエリアを少し外れると、普通の住宅街になる。 勿論、私の実家はこっち側。 私みたいな女に、小太郎君は昔から優しくしてくれる。 その優しさは不器用な優しさではあるけど、私は小太郎君が優しいことを知っている。 「早く入れよ!」 玄関の扉を開けて待っていてくれる小太郎君を見ながら、笑う。 私はそんな小太郎君のことが、大好き・・・。 私みたいな女が、小太郎君のことが大好きになってしまった・・・。
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

588人が本棚に入れています
本棚に追加