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「私だけ会話入れてない.....」
すっかり忘れ去られたリリーが頬を小動物のように膨らませて怒った。立ち振る舞いからなにまで可愛らしい天使のようである。
「リリーも話そう、ごめんごめん、夢中になりすぎたね......」
ルークはいつもの調子で笑い、
リリーの肩をぽんぽんと叩く。
ルークはどんなときでもルークのままだなあと若干呆れつつ思った。
私なんかリリーの拗ねた表情をみて顔が火照ってるような気がするのに。
ルークはこんな美少女が頬を膨らませて怒っている様子に何も感じないのだろうか。
「やだなあ、なに言ってるのエリアス。僕が僕のままで悪いことあるの。」
「私なんかシャーロットのこの振る舞いひとつひとつにドキドキしてるのに。」
ルークはきょとんとした顔でこちらを見る。
私の言っていることにピンときていないようだ。
「感情がない硝子人形」
「......エリアスさっきから僕に辛辣すぎない?」
「ルークのバカ。」
私は諦めてそう言った。リリーのかわいらしさを理解するのはルークにとっては難しそうだ。
この人の目は節穴なのだろうか?
「そうだそうだ!」
リリーまでも声をあげてそう言った。
鈍感なのか、ただのバカなのか......。
こんなに可愛い子を目にしてもなんの感情も湧かないルークのことに疑問を浮かべてしまう。
「まあまあ。それより、この家を出て歩くのはどうかな。」
「えー、シャーロットの家出ちゃうの?」
諭すように笑ってルークは返事を返した。
「うん。ここにいてもなにもなんないでしょ。僕らはエリアスの記憶を探しに来たんだから。」
リリーは納得しない様子だったがルークがお兄ちゃんからのお願いだから、と手を合わせて頼んだ。
「ずっと気になってたんだけど、ルークってリリーのお兄ちゃんなの?」
「うん!そうだよ!!約束通り迎えにきてくれたからね!」
リリーはニコニコ笑う。
よっぽどルークのことが好きらしい。
最後の言葉に少し違和感を感じた。それと違う感情で私はなんだか胸が苦しくなるような感覚を覚えた。
まるで心に曇りがかかったようだ。ルークは私の気持ちを察したらしくニヤニヤ笑いながら意地悪く言い、頭をぽんぽんと軽く叩いた。
「リリーは愛嬌があって可愛いと思うよ。それにいいこだからね」
「ほんと?嬉しい!お兄ちゃん大好き!」
リリーは目をきらきらと光らせ、小さな顔一面に笑顔を浮かべてご満悦のようだ。
「ルーク.......わざとやってるでしょ?」
「よくわかったね、正解だよ。やっぱり君は美しく聡明なお嬢様だね。」
ルークはパチパチとわざとらしく手を叩いてふふふ、と楽しそうに笑う。
__私のことをからかって何になるのだろうか。
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