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エリアス___。ルークいわく、それは、私の名前らしい。未だに実感が湧かないけど、そんな響きのいい名前だったなんて思いもしなかった。
再び美しい森をルークと共に
二人で歩くことになり、色々な質問をした。
「私、知らない間にここにいて、どこへ行けばわからないんだけどどうすればいいの?」
不安げに尋ねると、微笑みが返った。
「君は何も考えてなくていいよ。僕は君が帰れるように、手助けするだけさ。__ああそうだ、僕のことはルークと呼んでくれ。」
どこか遠くを見るような目は奇妙に青く光ったように見えて、内心少しゾッとしてしまった。
ありがとう、と言いつつこの謎の少年、ルークのことはまだ何もしらないので、ついて行っていいのか心配する気持ちもあった。
「__僕も一つ、質問してもいいかな?」
ニコ、と優しく笑うと皮肉を言うように言った。
「君は、なんでここに来たと思ってる?」
なぜここに来たか?そんなの____
捨てられたから?
どう考えても、それしか考えようがない。
こんな、現実から遠ざかった未知の森に一人でいると言う事実があるのに、誰かに捨てられた、と思わない人はいないだろう。
服もボロボロになってしまっているわけだし____。ルークはシルクハットを直してからもう一度ニコリ、と笑って言った。
「君は、やっぱり真実を知らない方が、いいよ。それくらい無垢なんだから、さ。」
諦めたように首を振って彼はうすい唇にそっと、指を当てる。
「私、何か変なこと言ったかな。ごめんね、ルーク。」
私が不安げな顔をするとルークは難しい顔をしだした。さっきのことを考えているのだろうか?
「__僕、君のような子を見たことがあるんだ。この森で。それで彼女は凄くこの森を気に入ってたかなあ。ここは理想郷だ、ユートピアだ__と信じて止まなかったらしいね。どうも生身の人間が来ると、この森から出られなくなってしまうようなんだよ。君もそう__思っているんじゃないかな?ああそうそう、まだ彼女はこの森にいるさ。会ってみるかい?」
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