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少し湿り気を帯びた空気。いつもより寝覚めが悪かったのは、きっとそのせいだろう。
ぎっ。とベッドが重く軋み、その少年は立ち上がる。
背丈は170cmあるだろうか。長身痩躯とまではいかないが、身軽な背格好をしている。切りっぱなしの黒髪ショートヘアに、隙間から覗く虚ろな橙瑪瑙色の瞳。くたびれたアイボリー色の薄い生地のシャツに裾が解れた黒の七分丈のパンツ。右腕と左脚には雑に包帯を巻いており、ひらひらと棚引かせている。
天井の隙間から差し込む陽の光と少し冷ややかな風に、「もうこんな時間か」と零して部屋をあとにした。
素足が踏みこむ度に軋む床。
陽の当たらないベッド下はところどころ苔生している。
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