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チョロチョロと水道から流れる水を掬い、少年は顔を洗う。だがその水道に蛇口は無い。
錆だらけの壊れたシンク。流れっぱなしの水は穿たれた穴に吸い込まれてゆく。
シャツの袖で濡れた顔をひと撫ですると、少年はふと上に目をやる。天井を突き破った木の枝に、ひとつ、ふたつ赤い果実が色づいていた。
軽く首を傾げて呟く、見た事の無い果実だ。
そういえば固形の食べ物はもう3日口にしていないな、と思い出し
「LIZARD、これは食えるか?」
と、誰かに話し掛けた。
───────少年の周りには誰もいない。
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