深夜のタクシー

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運転手さんも、ロング走行をする顧客を乗せてしまえば、その日の売上は、現金が入るから和尚の俺はいい顧客だった。JR五井駅から、鴨川の檀家のあるお寺までの距離は60キロメートルで、往復で120キロメートル。タクシーの運転手には、いつも待たせるので、先に現金をいつも渡していた。 あいにくの雨で、ワイパーを動かす音が聴こえた。グウィ、グウィ、グウィ、グウィ、と雨をはじく音が定期的に車内に聴こえてきた。 仏に支える身の俺が言うのも、おかしな話だが、幽霊がでる話が跡をたたなかった。葬式、法事、その他、いろいろ檀家から来る話はあるが、その幽霊の噂は、本当にいるらしい。 その幽霊が、この俺を狙っているのだから、和尚の俺も困って入るのが、実情だったんだ。
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