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翌日。
俺はこっちの世界ではじめて例の喫茶店へと足を運んだ。
「いらっしゃいませー」
あの無愛想な店員だ。
席につきモーニングを注文すると「ゆでたまごかスクランブルエッグがつきますけど?」と、面倒くさそうに問われた。今までの、あっちの世界を知らない俺だったら、彼の態度に腹をたてていたかもしれない。
けれど今は、彼が『ゆるさない』の言葉を発しないことが心底うれしく、そして、ほんの少しだけ物足りない気分だった。
「じゃあ、スクランブルエッグで」
「スクランブル」
注文表に書き込んでから、彼は思い出したように言った。
「ケチャップかゆるさない、どちらにしますか?」
頭を撃ち抜かれた気分だった──。
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