23人が本棚に入れています
本棚に追加
「もうビックリ! 幼稚園の同級生が強盗殺人で全国指名手配だって!」
夜中に帰ってきた夫の守に正義くんの事を話した。
「ふぅん……」
口数が少ない上に遅くまで働いてきて疲れている。まともな返事が返ってくるなんて期待はしていなかった。でも「ふぅん」じゃ寂しすぎる。あのニュースを観てからずっと誰かに話したくてたまらなかったのに。
「寝る」
「ふぅん。おやすみなさい!」
「何か怒ってるの?」
「別に」
守は工場で働いている。1週間昼間の勤務をしたら次の1週間は夜の勤務になる二交代制だ。昼間の勤務の週は一緒に夕飯も食べられる。しかし夜の勤務になると殆どミクと顔も合わさない。今週は夜勤の週だ。朝は寝ているし夜はミクが寝てから帰ってくる。1週間娘と会わないなんて私だったら耐えられない。もっと違う仕事はないのだろうか。まあ口数の少ない人だから工場勤務が合ってるのかもしれない。家族のために頑張ってくれているのだ。我慢しなきゃ。
「行ってらっしゃい」
午後守を見送ってから娘を迎えに幼稚園に行く。そして一緒にスーパーで買い物をする。
「今日の夕飯は何が食べたい?」
「ハンバーグ!」
最近お手伝いをしてくれるようになったミク。
「パパのはわたしが作る! ハートの形にするの!」
ハンバーグをハートの形に成形するミク。あんまり会えなくてもミクはパパが大好きなようだ。
最初のコメントを投稿しよう!