いつかの王子様が……

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 夕食を終えお風呂に入りミクを寝かしつけていた時スマホが鳴った。こんな時間に迷惑だと思いながら画面だけ確認した。知らない番号だった。ちょうどミクがうとうとし始めている。起こされてはたまらない。スマホの電源を切った。  娘は寝たがまだまだ主婦は寝られない。夕飯の後片付けをしたり洗濯物をたたんでしまったり。それでもまだ寝られない。夜中になると守が帰ってくる。本日2度目の夕飯の支度をしなければならない。1時間でも2時間でも早く帰ってきたくれたら楽なのに。    ひと仕事終わりスマホの電源を入れ動画サイトを見始めた時だった。 ピンポーン  守が帰って来たのだろうか。でも大分早い。具合でも悪くなったのだろうか。そう思いながら玄関に向かった。いや待て。守は鍵を持っている。夜中は娘を起こさないようにチャイムなんて鳴らさない。じゃあ、誰? ピンポーン! ピンポーン!  チャイムは何度も鳴らされた。こんな鳴らし方守はしない。近所で何かあったのだろうか。火事? それとも事件?  私は玄関のドアに恐る恐る近付きドアスコープを覗いた。 「!!」  そこには昼間テレビで観た顔があった。正義くんだ。昔のまま眉はキリッとしている。目も大きいままだが殺気立ってギラギラと光っている。 ピンポーン! ピンポーン!  正義くんはチャイムをせわしなく押していた。
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