春に出会う

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春に出会う

 春うらら。  桜咲き乱れる、いつもの散歩道。  思えば、一目惚れだったんだと思う。  ほの明るい栗色がそよ風に揺れ、少し切れ長の瞳は少し眠たげ。  真っ直ぐ、桜の木を見据える君は凛としていた。  いつの間にか、桜の花びらはもう視界に入っていなくて。  胸がキュッと苦しくなって、近づき難いのに、声をかけたくてたまらなくて。  ずっと、いつまでも見ていられるような。  自然と、口角が上がってしまいそうになる。  口の中で、甘く、ほろり溶けいくように。  あの頃は気づかなかったけど。  あれは僕にとって、初めての一目惚れだったんだ。
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