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陳列された証拠一覧を眺め、俺は言わずもがな悩んだ。急展開の連続に、頭がクラクラして倒れそうだ。
先輩たちの受けた被害は、恐らくほぼ事実だろう。ぶっちゃけ、写真やデータはでっち上げることもできるだろうが、水淵先輩がわざわざ親友の名前まで出して嘘をつくとは思えない。リスクがデカ過ぎる。サークルの先輩を数人当たれば、木野さんが今どこでどうしているかくらいはわかるのだ。俺にもその程度のツテがあることは、先輩も承知の上だろう。
水淵先輩は、木野さんの仇を討とうとしている。披露宴を台無しにして、あのカップルに復讐しようと。
困っている人を見過ごせない先輩の考えそうなことだ。
でも、この違和感は何だ?
何かが可笑しい。何処か引っ掛かる。
大学講師の一件とは、何かが違う。
押し黙って考え込む俺に、先輩は幾らかゆとりの生まれた口振りで投げ掛ける。
「ごめんね、妙なことに巻き込んで。でも、あなたの協力が必要なの。極力、迷惑をかけないようにするから」
その言葉で、俺はようやく理解した。
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